シリアルエーティーエー/SATA
シリアル転送方式を使ったSATAが登場する以前のハードディスクドライブは、IDE(Integrated Drive Electronicsの略)インタフェースであった。ハードディスク以外のCD-ROMやDVD-ROMドライブなどではATAPI(アタピー)と呼ばれるデータ転送規格が用いられていた。これらのドライブを利用できるIDEがATAPIである。最終的にはIDEの規格であるATAと統合された。
SATAとの外観上の大きな違いは、コードの幅とコネクターの大きさであるである。IDEが電源のコネクターとデータ用のコードががっつり大きいのに対して、SATAでは薄く平らになっている。内部的にはデータの転送速度が異なり、SATAの方が速くなっている。また、電源に関してはIDE時代のコネクターとSATA専用のコネクターの二つが一緒に存在する製品もあった。今ではあまり見かけないが。
ちなみに筆者はIntegrated Drive ElectronicsからSATAへと変遷する時代に、SATAのコードを抜き差しして、何台かのハードディスクをお亡くなりにさせてしまった過去がある。電源を切って作業していたはずなのだが、当時の製品はもろかったのかも知れない。現在では少々のことでお釈迦になるハードディスクはきっとないだろう。
SATAとIDEの違い
Integrated Drive ElectronicsのハードディスクはパラレルATAとも呼ばれており、複数の線(ケーブル)を使って情報を並列(パラレル)に送っている。一方、SATAは一本の線で情報を順番に連続して送る方式になっている。普通に考えれば複数の線を使って同時に情報をまとめて渡したほうが速いはずだ。しかし、複数の情報を受け取るタイミングが難しく、問題があることが分かってきた。
例えば、キャッチボールを想像してみよう。一個のボールを投げてもらってそれをキャッチすることはそう難しくはない。しかし、ボールを20個ほど投げられたら、一個のボールをキャッチすることさえ難しくなることは想像に難くないだろう。
そこで、データを順番に受け取るために、一本の線を使うSATAという規格が生まれた。これによってデータを一つ一つ処理すれば済む話になってしまって、データをキャッチするタイミングなどの問題が解消されたという訳だ。その結果、高速化が実現した。また、SATAの登場によって処理速度の向上を意図したAHCIというインタフェースも誕生した。あまり効果は無いようであるが。
尚、外付けのものはeSATA(イーサタ)と言う。