フォームファクタ
コンピュータは、その外側の箱と共に、中身の部品にも物理的な大きさがある。物理的とは、手で触れられる物体のことである。つまり、パソコンのケースをはじめ、マザーボード、CPU、ハードディスク、メモリ、ビデオカードなどがこれにあたる。フォームファクタとは、これらの大きさや配置、コネクタなどの規格を言う。ネジ穴やその大きさ、ネジ穴の位置なども含まれる。いわば、こういったものの総称がフォームファクタである。
フォームファクタは、このように物理的な部品のサイズなどを定めたものである。その意味では、特に注目される理由もない。では、なぜ、フォームファクタという言葉がよく使われるようになったのかというと、PC/AT互換機の登場によって、規格に沿ったものであればどんな部品でも構わないという基準ができたからだ。
ちなみにPC/AT互換機とは、IBMが製造したPC/ATのパソコンからきている。IBMはこの仕様を公開した。そのため、PC/ATの仕様が標準化されていったようだ。仕様さえ合っていれば中身はなんでも良くなっていったわけである。仕様の公開後、PC/ATの仕様に沿う同様のパーツが、他企業からも数多く販売され、更に価格競争によって低価格化し、パソコンパーツの市場が拡大していったという訳である。
パソコンはもともと、一台何十万円もしていた時代があった。これが次第に十万円前後でうろうろするようになって、更に安値の数万円で購入できるようになっていったわけだが、これもPC/AT互換機の登場のお陰かも知れない。
フォームファクタの種類
フォームファクタで有名なのは、ATXとmicroATXである。他にもMini-ITXやNano-ITX、Pico-ITXといったものもある。時代と共に小型化が求められ、その数はだんだんと増えていっている。
消えていったXTやATといったフォームファクタもある。現在のパソコンはこの内、消えていったAT規格を原点にしていると言われている。のちにインテルが採用したATXの規格が普及し、これが広く使われるようになった。
また、microATXもよく使われる。こちらは、ATXを小さくした規格で、場所をとらないというメリットがある。とはいえ、小さくなった分、拡張スロットの数が減った。このため、ビデオカードの機能を取り込んだオンボードというマザーボードがmicroATXとセットでよく使われる。