ルータ
ルータは通常、家庭内のネットワークとインターネット側のネットワークの間で通信の整理をする立場である。道路でいえば、交差点に当たり、国でいえば国境みたいな感じの中間点。そして、信号機やパスポートなどがルータでいうIPアドレスになる。厳密には、現実世界でいう住所に該当するため、信号機やパスポートとは異なるが、整理をするという観点からは似たようなものである。
ルータに対して家庭内側は、ローカルエリアネットワーク(LANは、Local Area Networkの略)と呼ばれる。ホストアドレスとネットワークアドレスがある。ある建物内やオフィス内など、比較的限られた範囲で使われる。これに対し、ワイドエリアネットワーク(WANは、Wide Area Networkの略)は、家庭内側からルータを通して広がる、外部の大きなネットワークのことである。これらは対比されることも多いが、単純に言えばWANは、LAN同士でつながった巨大なネットワークのことである。
一般に、ルータから外側がWANとされる。インターネットの世界もWANの一つである。世界中のあらゆるコンピュータが蜘蛛の巣状につながって、ひろがっていく形となっている。なぜ広がるのかと言えば、サーバなどのコンピュータがどんどん増えていくためである。個人の自宅サーバをはじめ、レンタルサーバやメインフレーム、更にクラウドなどの技術で様々なコンピュータが世界中で無限ともいえる範囲でひろがっていく。現在の科学水準では、地球の縦横を全てコンピュータで物理的に埋め尽くせる数だけ、広げることができるという訳。人類がいつか地球を出ていく時があれば、この数は更に増えることになる。
それはさておき、ルータには有線LANと無線LANがある。前者はケーブルでルータとパソコンをつないで用いるものだ。後者は電波でやり取りするタイプ。ESSIDやSSIDの識別子で通信を行うが、これらは同じような意味で使われることが多い。製品でも区別されずに表記されている場合があるようだ。ESSIDはローミングに対応し、SSIDは対応していない場合がある。ローミングは携帯電話などを海外で使う場合、契約先の日本の携帯会社が海外企業と提携を結んでるケースで、その海外企業のアクセスポイントを使うことができるサービスである。国際ローミングとも言う。こういったアクセスポイントはルータの機能にもあり、複数用いることで異なるNetwork間での接続をESSIDによって実現できる。
また、ルータにはインフラストラクチャーモードとアドホックモードがある。インフラストラクチャーモードは、それぞれの子機がルータのアクセスポイントを介して他の子機にアクセスするタイプである。これに対しアドホックモードは子機同士が直接やり取りするタイプである。DHCPサーバが利用できないため、固定IPを指定しなければならない。こちらは設定が面倒臭い上にあまり使道がない。が、Wi-Fi Directはアドホックモードに類似する機能を持つ。一対一のやりとりが出来、スマホやタブレットをはじめとする端末で利用可能。
ルータには、その本来のルータ機能を停止して、アクセスポイントとしてのみ利用できるブリッジモードと呼ばれるものが搭載されている。あまり使道が無いように見えるが、実は無線子機の台数が多いケースで役立つ。無線でアクセスするとき、一台のルータに接続できる子機の台数は製品によってそれぞれ決まっている。その台数を超えて子機を接続させる場合は、ブリッジモードのルータを別に用意すればよい。また、プロバイダから用意されてるモデムにrouter機能があれば、契約者側で用意したルータの機能を切って、ブリッジモードで動作させる。これをしないと不具合が多発してしまう。routerの働きを持つ製品同士をそのままつなげると、設定がややくこしくなるだけでなく、ある端末からある端末へとアクセスできなくなる現象が起こる。
ルータは、デフォルトゲートウェイであり、ノードでもある。デフォルトゲートウェイは、自身のNetworkか別のNetworkかをサブネットマスクで判別する。ルーティングテーブルを保有しているため、他のNetworkにデータを送る経路の情報を持っている。ノードは中継点のようなもの。そのためノードは、中継ポイントか、端末装置の発生点もしくは終着点のいずれかになる。routerはこのうち中継ポイントとなる。
速度に関してはビットレートという単位がある。ビットレートは、一定時間に処理されるデータの転送量の単位。「bps」と表記され、一秒間に何ビット転送できるかを表す。routerでは、「Mbps」と「Gbps」という言葉で表されることが多い。「Mbps」は一秒間に何メガ転送されるかという単位。「Gbps」は一秒間に何ギガ転送されるかという単位。また、スループットもよく用いられるが、こちらは一定時間内に処理できるデータ量のことをいう。こちらも「Mbps」や「Gbps」などで表現されるが、スループットはパソコンのスペックにも左右される。
尚、ルータ製品によっては、WPSがついていることがある。WPSがあると、無線LANで各子機と簡単に接続可能。ただ、PIN方式だとブルートフォース攻撃を受ける可能性が出てくる。反対にリバースブルートフォースとパスワードスプレーは理論上、意味が無い。その他、NASを搭載したものもある。